入院顛末記 その3

ヤブ医者ショックのせいか、はたまた単に薬の持続効果がそれまでだったのか、消灯時間後、またまた熱と頭痛がぶり返してきた。

もちろん氷枕は手放せない。夜中、様子を見に来た『婦長』に座薬を所望するが、「医者から38度5分を超えないとダメと言われている」とのことで拒否される。そういえば、寝る前に測った体温は38度を少し切っていた。

ウトウトして一瞬意識を失いかけるが、眠りに落ちた瞬間締め付けられるような頭痛で無理やり起こされる。そんな感じを繰り返していたらいつの間にか夜が明けていた。

朝の検温では37度5分。

少しずつではあるが良くはなっているようだ。実際、まだまだ頭痛は治まる気配はないが、昨日のように耐えがたいほどではなくなった。頭を冷やしてじっと横になっていればなんとか我慢できるレベルにはなってきた。判りやすい表現で言うと『闘莉王の頭髪』が『長谷部の頭髪』程度までにはなったということである。


人間不思議なもので、身体的に余裕がないと頭もそれ以外のことまで考えられないが、身体に余裕が出てくると、周りにも気が回るようになってくる。


この病院には、忘れもしない8年前の初夏(なんで覚えているかというとちょうどフランスワールドカップの開幕の日だったからである)、食中毒で入院したことがある。会社行事のバーベQで生焼けの貝にあたったのだ。あと余談だが、ワタシは社員旅行でテニスをやって足首の靭帯を断裂したこともある。会社行事はワタシにとって鬼門だ。因みにそのときもこの病院の整形外科に通院した。以上余談終わり。


なんとなく10年1日と言うか当時とあんまり院内の雰囲気が変わっていないのである。備え付けのTVが液晶(但しひと昔前の古い型)になっているのと、6人部屋から真ん中のベッドが撤去されて4人部屋になっている以外は、まんま経年劣化のみが進んだ感じだ。


あと、メシがまずい。

実は8年前の入院は理由が理由だけにここのメシは食っていない。しかし約30年前、子供の頃急性腎炎で田舎の病院に入院したとき食べた、塩分の入っていない味気ないメシとそう大差ないのだ。いくら体調が悪くて食欲がないことを割り引いても、この病院のメシはまずかった。

なにしろ魚(らしきもの)がハナのキャットフード並みの匂いを発しているのだ。米は3食ともおかゆ。まずいおかゆってあんまり想像つかないかもしれないが、本当にまずい。妻の買ってきてもらった『ごはんですよ』をぺたぺたとなすりつけてようやっと流し込むような感じだった。

しかし、メシがまずいので退院しますとは言えない。幸い昼食後には何とか平熱近くまで熱が下がってきた。まだ酷い頭痛は残っているがあともう少し頑張ろう。


ということでまたしても、次エントリに続く。